パスタを茹でている間に

村上春樹作品を考察しているブログです。著者の著作一覧はホーム(サイトマップ)をご確認ください。過去の考察記事一覧もホーム(サイトマップ)をご確認ください♪

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考察・村上春樹著『土の中の彼女の小さな犬』

短編集「中国行きのスロウ・ボート」より、『土の中の彼女の小さな犬』を考察します。主人公はインタビュー記事やルポを書いているライターで、宿泊先のホテルで知り合った女性にコールド・リーディングを行う話です。 コールド・リーディングとは、インチキ占…

考察・村上春樹著『かえるくん、東京を救う』 

短編集「神の子どもたちはみな踊る」より、『かえるくん、東京を救う』を考察します。著者の短編の中でもかなり人気のある作品です。こちらの短編集では、収められている短編同士がキーワードを共有するので、単体で取り出すのが少し難しいです。レコードやCD…

考察・村上春樹著『はじめに・回転木馬のデッド・ヒート』 おりと澱と檻 

今回は短編集の序文となっている、『はじめに・回転木馬のデッド・ヒート』を考察します。こちらの序文では「小説とは何ぞや?」という著者の思いが短くまとめられています。『1973年のピンボール』と、全く同じことが書かれています。 Ничья на карусели. (回…

考察・村上春樹著『螢』「死」が捉えたのは誰か? 

短編集「螢・納屋を焼く・その他の短編」より、『螢』を考察します。こちらの作品は『ノルウェイの森』の原型になっている短編なのですが、単体でも十分に読みごたえのある、別物と捉えてよい完成品です。 『ノルウェイの森』では、主人公の「混乱」を描こうとし…

考察・『七番目の男』 初めての読む「村上春樹」に最適な短編

短編集「レキシントンの幽霊」より、『七番目の男』を考察します。こちらの作品は村上春樹作品のなかでも特に読みやすく・分かりやすいとされている短編です。メッセージもかなりストレートで、「著者が小説で描きたいこと」が端的に現れています。 語り手(主人…

考察・村上春樹著『レキシントンの幽霊』 ある種のものごと 

村上春樹著『レキシントンの幽霊』を考察します。短編集の表題作となっている本作ですが、高校の現代文で幾つかの教科書に採用されています。主人公(語り手)は著者自身で、マサチューセッツ州レキシントンでの体験で、「人物の名前だけは変えたけど、それ以外…

考察・村上春樹著『踊る小人』 象工場の意味

村上春樹著『踊る小人』を考察します。短編集「蛍・納屋を焼く・その他の短編」収録。主人公は「象の水増し」を行っている象工場に勤めている青年という、かなりぶっとんだ内容のお話です。 The Dancing Dwarf NHK ラジオ 英語で読む村上春樹 2014年 07月号 [雑…

考察・村上春樹著『午後の最後の芝生』 成長する自己を刈る

今回は、村上春樹作品の中でも特に人気のある短編『午後の最後の芝生』をご紹介します。私にはあまり印象がなかった作品なのですが、調べてみると、とにかく大人気でした。こちらの短編は業界人にも人気のある作品のようです。 The Last Lawn of the Afterno…

考察・村上春樹著『めくらやなぎと(、)眠る女』 風を可視化する柳

こちらの作品はふたつのバージョンがあり、ひとつはオリジナルの『めくらやなぎと眠る女』と、それを短くした改稿版の『めくらやなぎと、眠る女』です。それぞれ、「蛍、納屋を焼く、その他の短編」と「レキシントンの幽霊」に収録されています。

考察・村上春樹著『夜中の汽笛について、あるいは物語の効用について』

短編集『夜のくもざる』に収録された短編です。短編と言うよりはショートショートに分類されるぐらいのとても短いお話です。こちらの短編集は、ほとんどが意味不明でふざけた?内容のショートショートばかりなのですが、『夜中の汽笛~』だけがトーンが違い…

考察・村上春樹著『納屋を焼く』 同時存在するモラリティ

村上春樹著『納屋を焼く』ですが、当初、映像化する権利はNHKが持っていたそうで、NHK版と「劇場版 バーニング」の二種類が存在するようです。 考察に関しては主流なのが二種類あり、ひとつは「彼」によって彼女(納屋)が殺されて(燃やされて)しまったという読み…

考察・村上春樹著『日々移動する腎臓のかたちをした石』

村上春樹著、『日々移動する腎臓のかたちをした石』を考察しています。腎臓石を「行き場を失った想い」と読んでいます。

考察・村上春樹著『偶然の旅人』 昼間の打ち上げ花火は見えない

短編集「東京奇譚集」より、『偶然の旅人』を考察します。本作ではとても珍しく、著者本人が冒頭で登場し、「フィクションではなく、実際に本人から聞いた話だ」と断りを入れてから、話が進められます。 村上春樹作品には、中性的なキャラクターが良く登場します…

考察・村上春樹著『トニー滝谷』 中身の不在を補う

短編集「レキシントンの幽霊」より、『トニー滝谷』を考察します。不思議なタイトルの本作ですが、映像化もされている作品です。 生まれてすぐに孤独な少年時代を過ごし、最愛の人とめぐり逢うも、再び孤独になることから、「孤独、深い愛、喪失」をテーマとした…

考察・村上春樹著『木野』 村上春樹的メタファーとプロット

短編集 村上春樹著「女のいない男たち」より『木野』を考察します。しかし、今回は考察に失敗しており、著者の主題を見つけることが出来ませんでした。もう少し時間をかければ何とかなったかもしれませんが、この作品を読んでいると別のことに気を取られて、違…

考察・村上春樹著『アイロンのある風景』 アウトサイダーはアイロンを神聖視する

短編集『神の子どもたちはみな踊る』より、「アイロンのある風景」を考察します。本短編集は連作『地震のあとで』をまとめたものに、書き下ろし作品を加えたものになってます。著者の短編のなかでも特に人気の高い『蜂蜜パイ』と『かえるくん、東京を救う』が…

考察・村上春樹著『ふしぎな図書館』

村上春著『ふしぎな図書館』を考察しています。「不思議な話だった…」で終わらずに、全力で「ナゼ?」に答えようと読んでいます。

考察・村上春樹著『象の消滅』 象の象徴するモノ

村上春樹著『象の消滅』を考察しています。象(ぞう)の意味するところは何か?便宜性を追求することで失うモノについて、考えています。

考察・村上春樹著『沈黙』 ゾンビ的な傍観者の畜群

村上春樹著『沈黙』の考察をしています。いじめがテーマになっている本作ですが、タイトルが「沈黙」になっている意味も考えてみました。

考察・村上春樹著『バースデイ・ガール』 後悔のない人生

二十歳の誕生日に、風変わりな老人から「ひとつだけどんな願い事でも叶えてあげる」と言われた女性のお話。彼女の願い事は「後悔のない人生」です。聞き手である「僕」とのやり取りから導き出せます。 中学三年生の教材として採用されている作品です。主人公である…

考察・村上春樹著『鏡』 心(主観)が作り出す幻

村上春樹著『鏡』について考察しています。もう一人の自分と、自分自身が作り出す幻について考えています。

考察・村上春樹著『眠り』 傾向的に消費される主婦の人生

村上春樹著『眠り』を考察しています。『アンナ・カレーニナ』との関係、不眠の理由、謎の老人の夢について考えてみました。