今回は「一人称単数」より『謝肉祭(Carnaval)』を考察します。この短編では、主人公の友人としてF*氏という40歳代の女性が登場します。彼女は「とても醜い女性」で、最後には詐欺事件の犯人として逮捕されます。ネットでは「モデルは誰か?」と犯人捜しが行われています。
短編集「一人称単数」ではエッセイ形式で書かれていますので、著者の実体験のように読むことが出来ますが、基本的には創作として扱った方が良いと私は思っています。そうしないと「品川猿」が実在してしまいます。なので私は、『謝肉祭(Carnaval)』主人公は著者の等身大の架空の人物として読んでいます。
この短編では、女性の美醜がテーマのひとつになっているようで、繰り返し容姿に関する記述がされています。しかし、その醜さを ”「ヴィーナスの誕生を想起させる」” とありますの。なので、「美の女神であるヴィーナス」のような醜さを読む必要があります。
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