パスタを茹でている間に

・村上春樹作品について、偏見たっぷりに独自の読み方で考察しているブログです。・基本的に「テーマは何か?」の結論から書き始めますので、ネタバレです。・ただし、未読の方に対する配慮として、あらすじは省略しています。・断定的な表現で文章に不快感を持たれる方もいらっしゃると思いますが、「言いきる」ことを目標にしています。・ご了承ください♪

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考察・村上春樹著『飛行機ーーあるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか』

短編集「TVピープル」より、『飛行機ーーあるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか』を考察します。 私は短編集の表題作となっている「TVピープル」については、「我々はテレビを通して、構造主義的に社会に取り込まれ、自分が思っているほど自由…

考察・村上春樹著『タクシーに乗った男』カロ・タクシージ(良い旅を)

短編集「回転木馬のデッド・ヒート」より、『タクシーに乗った男』を考察します。記事にするために再読していたのですが、この短編はかなり面白い作品であることを再発見しました。 著者は、まだ作家になったばかりのころ、ペンネームを使って美術誌のために画…

考察・村上春樹著『レーダーホーゼン』離婚原因は半ズボン

短編集「回転木馬のデッド・ヒート」より「レーダーホーゼン」を考察します。レーダーホーゼンとは、ドイツ伝統の吊りベルト式の半ズボンです。 ざっくりとしたお話の流れは、著者が著者の奥さんの友人(30歳過ぎの独身女性)の、「半ズボンが原因で、母が父を捨て…

村上春樹作品とLGBTQ+

村上春樹作品では、性的マイノリティのキャラクター達が何人も登場しています。今回は村上春樹作品で活躍した彼・彼女たちについてご紹介します。 最近ではSDGsの目標としても話題に挙がることも多いLGBTQ+ですが、著者の作品ではかなり以前から、当たり前の…

考察・村上春樹著『緑色の獣』 正体不明の獣

短編集「レキシントンの幽霊」より、『緑色の獣』を考察します。英訳タイトルが「The Little Green Monster」となっています。本短編を考察することが、一体誰の特になるのか?需要があるのか分かりませんが、ネタ切れなので記事にしてみました。 レキシントンの…

考察・村上春樹著『中国行きのスロウ・ボート』そして誇りを持ちなさい

短編集「中国行きのスロウ・ボート」より、表題作の『中国行きのスロウ・ボート』を考察します。著者にとって初の短編集の表題作となっています。短編ながらも全5章からなり、何が言いたいのか?さっぱり分からない作品です。ジャズに「slow boat to China」とい…

考察・村上春樹著『独立器官』本人の意思と他律的な作用

短編集「女のいない男たち」より、『独立器官』を考察します。ざっくりとあらすじを説明すると、50歳を過ぎても独身を貫く美容整形外科の開業医をしている男性・渡会が、恋煩いで拒食症になりそのまま絶命するお話です。 短編集に収められた順番からすると、「…

考察・村上春樹著『UFOが釧路に降りる』箱の中身

短編集「神の子どもたちはみな踊る」より、『UFOが釧路に降りる』を考察します。こちらの短編集は阪神淡路大震災を扱った作品とされているのですが、地震のあとで地下鉄サリン事件が起きています。 同短編集は連作「地震のあとで」が元となっていることから、本…

考察・村上春樹著『ドライブ・マイ・カー』 演じる生き方

村上春樹著『ドライブ・マイ・カー』を考察します。短編集「女のいない男たち」に収録されている短編ですが、映像化作品がいくつもの賞を受賞しているそうです。私は未視聴なのですがネットから得た情報によると、原作とは違う部分があったり、同短編集に収め…

考察・村上春樹著『タイランド』 石に変わる言葉

短編集「神の子どもたちはみな踊る」より『タイランド』を考察します。主人公のさつきは甲状腺の病理医で、世界甲状腺会議なる専門医が集まる会議に招かれており、今回の会場となったのがタイだったので、物語の舞台がタイになっています。 こちらの短編集は阪…

考察・村上春樹著『神の子どもたちはみな踊る』かえるダンスの意味

今回は短編集「神の子どもたちはみな踊る」より、表題作『神の子どもたちはみな踊る』を考察します。日本では今、「政治とカルト教団」に揺れていますが、こちらの短編でもカルトを扱った作品になっています。 神の子どもたちはみな踊る(新潮文庫) 作者:村上春…

考察・村上春樹著『TVピープル』 テレビは真実を伝えているか?

村上春樹著『TVピープル』を考察します。本作は短編集「TVピープル」の表題作となっていて、短編集の持っている全体的なムードを示す作品となっています。小説『1Q84』に登場した「リトルピープル」へと続く邪悪な系譜なのですが、こちらを「邪悪」としてしまうの…

考察・村上春樹著『どこであれそれが見つかりそうな場所で』

短編集「東京奇譚集」より、「どこであれそれが見つかりそうな場所で」を考察します。なかなか惹かれるタイトルです。主人公は45歳の独身で、特殊な状況で失踪してしまった人を専門に探すボランティアをしています。そんな主人公のもとに依頼人が訪れるところか…

考察・村上春樹著『蜂蜜パイ』 地震男がふたを開く

今回は短編集「神の子どもたちはみな踊る」より『蜂蜜パイ』を考察します。こちらの作品は『かえるくん、東京を救う』と並んで、とても人気のある短編で、ストレートで分かりやすい物語になっています。 主人公は短編『日々移動する腎臓のかたちをした石』で登…

考察・村上春樹著『女のいない男たち』水夫は風を捉えて進む

短編集『女のいない男たち』の表題作を考察します。まえがきでは「女のいない男たち」というモチーフで短編をいくつか書いたあとで、単行本のための表題作を書こうと思い立ったと語っています。また本作については、「そうだ、こういうものを書こう」という着想…

考察・村上春樹著『木野』 ザグレウスの心臓 全力考察

短編集「女のいない男たち」より、『木野』を考察します。以前にも『木野』は記事にしたのですが、そのときは考察が中途半端になってしまいましたので、リトライしたいと思います。猫と柳、そして、「心臓を隠す蛇」についても考察したいと思います。 ポスター …

考察・村上春樹著『シェエラザード』 やつめうなぎ的な主題

短編集「女のいない男たち」より、『シェエラザード』を考察します。社会との関わりを絶って「ハウス」で隠遁生活を送る男性・羽原と、その彼を支援する「連絡係」の女性・シェエラザードの物語です。 シェエラザード (HARUKI MURAKAMI 9 STORIES) スイッチパブリ…

考察・村上春樹著『土の中の彼女の小さな犬』

短編集「中国行きのスロウ・ボート」より、『土の中の彼女の小さな犬』を考察します。主人公はインタビュー記事やルポを書いているライターで、宿泊先のホテルで知り合った女性にコールド・リーディングを行う話です。 コールド・リーディングとは、インチキ占…

考察・村上春樹著『かえるくん、東京を救う』 

短編集「神の子どもたちはみな踊る」より、『かえるくん、東京を救う』を考察します。著者の短編の中でもかなり人気のある作品です。こちらの短編集では、収められている短編同士がキーワードを共有するので、単体で取り出すのが少し難しいです。レコードやCD…

考察・村上春樹著『はじめに・回転木馬のデッド・ヒート』 おりと澱と檻 

今回は短編集の序文となっている、『はじめに・回転木馬のデッド・ヒート』を考察します。こちらの序文では「小説とは何ぞや?」という著者の思いが短くまとめられています。『1973年のピンボール』と、全く同じことが書かれています。 Ничья на карусели. (回…

考察・村上春樹著『螢』「死」が捉えたのは誰か? 

短編集「螢・納屋を焼く・その他の短編」より、『螢』を考察します。こちらの作品は『ノルウェイの森』の原型になっている短編なのですが、単体でも十分に読みごたえのある、別物と捉えてよい完成品です。 『ノルウェイの森』では、主人公の「混乱」を描こうとし…

考察・『七番目の男』 初めての読む「村上春樹」に最適な短編

短編集「レキシントンの幽霊」より、『七番目の男』を考察します。こちらの作品は村上春樹作品のなかでも特に読みやすく・分かりやすいとされている短編です。メッセージもかなりストレートで、「著者が小説で描きたいこと」が端的に現れています。 語り手(主人…

考察・村上春樹著『レキシントンの幽霊』 ある種のものごと 

村上春樹著『レキシントンの幽霊』を考察します。短編集の表題作となっている本作ですが、高校の現代文で幾つかの教科書に採用されています。主人公(語り手)は著者自身で、マサチューセッツ州レキシントンでの体験で、「人物の名前だけは変えたけど、それ以外…

考察・村上春樹著『踊る小人』 象工場の意味

村上春樹著『踊る小人』を考察します。短編集「蛍・納屋を焼く・その他の短編」収録。主人公は「象の水増し」を行っている象工場に勤めている青年という、かなりぶっとんだ内容のお話です。 The Dancing Dwarf NHK ラジオ 英語で読む村上春樹 2014年 07月号 [雑…

考察・村上春樹著『午後の最後の芝生』 成長する自己を刈る

今回は、村上春樹作品の中でも特に人気のある短編『午後の最後の芝生』をご紹介します。私にはあまり印象がなかった作品なのですが、調べてみると、とにかく大人気でした。こちらの短編は業界人にも人気のある作品のようです。 The Last Lawn of the Afterno…

考察・村上春樹著『めくらやなぎと(、)眠る女』 風を可視化する柳

こちらの作品はふたつのバージョンがあり、ひとつはオリジナルの『めくらやなぎと眠る女』と、それを短くした改稿版の『めくらやなぎと、眠る女』です。それぞれ、「蛍、納屋を焼く、その他の短編」と「レキシントンの幽霊」に収録されています。

考察・村上春樹著『夜中の汽笛について、あるいは物語の効用について』

短編集『夜のくもざる』に収録された短編です。短編と言うよりはショートショートに分類されるぐらいのとても短いお話です。こちらの短編集は、ほとんどが意味不明でふざけた?内容のショートショートばかりなのですが、『夜中の汽笛~』だけがトーンが違い…

考察・村上春樹著『納屋を焼く』 同時存在するモラリティ

村上春樹著『納屋を焼く』ですが、当初、映像化する権利はNHKが持っていたそうで、NHK版と「劇場版 バーニング」の二種類が存在するようです。 考察に関しては主流なのが二種類あり、ひとつは「彼」によって彼女(納屋)が殺されて(燃やされて)しまったという読み…

考察・村上春樹著『日々移動する腎臓のかたちをした石』

村上春樹著、『日々移動する腎臓のかたちをした石』を考察しています。腎臓石を「行き場を失った想い」と読んでいます。

考察・村上春樹著『偶然の旅人』 昼間の打ち上げ花火は見えない

短編集「東京奇譚集」より、『偶然の旅人』を考察します。本作ではとても珍しく、著者本人が冒頭で登場し、「フィクションではなく、実際に本人から聞いた話だ」と断りを入れてから、話が進められます。 村上春樹作品には、中性的なキャラクターが良く登場します…