パスタを茹でている間に

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『星の王子さま』 その本は魔法の言葉で書かれている

大人になってこの本を知ると、「何でもっと前にこの本を読まなかったのだろう!」と後悔し、幼すぎると「変な本…」で終わってしまう。初めて手に取ったときに感動したエピソードは、再読するとその輝きを失い、今度は別のエピソードが心を締め付ける。

 

サンテグジュペリ著『星の王子さま』をご紹介します。年齢によって、あるいは読者の状況によって受け取りかたが変化してしまう不思議な本です。読書好きなら必ず通るのではないでしょうか?今回は考察は無しです。

 

その本は魔法の言葉で書かれている

不思議な本です。読者によって印象に残るエピソードが違うだけでなく、何歳の時に読んだのか?によっても感想が変わってしまいます。再読すると「あれ、こんなお話だったっけ?」なんて、細かい内容を忘れています。

本の中身は印刷されていますので、内容は変わっていないはずなのですが、手に取る度に変化しているように感じます。内容が変わっていないのなら「何が変わったんだ?」となり、「自分が変わったのか?」と不安になります。

「なんか、よく分からないなぁ…」なんて、スルーしたエピソードが、後に再読したときに「そういうことか!」なんて、身震いと共に理解が深まります。ちゃんと読めていなかったんだ。

星の王子さま』を探して

「魔法の言葉で書かれた本」の魅力に取り憑かれた読者は、似たような本を探すのですが、「星の王子さま」は見つかりません。サンテグジュペリの他の著書を読んでみても「コレじゃない…」。星の王子さまはいったいどこに居るんだろう?

本をたくさん読んでいれば、いつかはまた「星の王子さま」に出会えるかも?蔵書のコレクションを増やしていくと、いつしか「星の王子さま」のことも忘れて、本棚が自身を映す鏡のように個性を現し始めます。

それは、部屋を掃除している時だったり、本棚の整理中だったりします。「僕を探すのはもうやめたの?」と「星の王子さま」が自分に語りかけてきます。「だって君はどこにも居なかったじゃないか!?」ケンカ腰で再読をはじめると、やっぱり最後には仲直りしています。

星の王子さま』を見かけた方は是非ご連絡下さい

 

私が知りたいのは彼のその後です。きっと今も素敵な旅を続けているはずです。でも、記事を書くにあたって再読しようとしたら、本当に本棚から消えていました!?。文庫本はたまに古本屋で処分していますが、手放した覚えがありません。(本当にどうしたんだろう?)
手元にないことが分かると無性に読みたくなってきました。リリカルな記事を書いている場合じゃありません。(でも、これこそ「SFといえば」でした。)飛び出す絵本はかなり高価ですが、「仲直り」にはちょうど良いのかもしれません。

 

星の王子さま』と『キノの旅


ネットでもよく指摘されていますが、『キノの旅』と『星の王子さま』には似たムードを感じました。
キノの旅』はライトノベルなので書籍の購入は抵抗があったのですが、アニメ版のを見ました。映像作品も幾つかあるようですが、私の好きなのは初期のアニメシリーズです。画が古風ですが、世界名作劇場のような懐かしさがあります。
キノの旅』の方はメッセージがしっかりしていて、『星の王子さま』のような「なんだか不思議な夢を見たなぁ」という読後感は得られません。私が探しているのはロールシャッハ・テストのような見る人によって変化してしまう物語です。

 

 

何度でも読みたくなる本

何度でも読みたくなる不思議な吸引力を持った本ってありますよね?「何をもって幸福とするか?」は人それぞれですが、「愛読書がある」というのも素敵な生き方だと思います。

子供の頃に読んだ絵本で、内容もタイトルも覚えていないけど、あれってなんだっけ?好きだったんだけどなぁ~…。