パスタを茹でている間に

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お花見と治水の歴史 日本はナゼ水害が多いのか? 

皆さんのお住まいの地域の桜の開花状況はいかがでしょうか?今日は治水の歴史に関する本をご紹介したいと思います。お花見と治水にどんな関係が?と思われた方もいるかもしれません。また、日本は本当に水害の多い国なのでしょうか?

 

 

『物語 日本の治水史』

 

 「川沿いに桜が植えられているのは、見物客を集めて土手を踏み固めるため」なんて聞いたことはありますでしょうか?古今東西の有能な統治者は民だけでなく水をきちんと治めたようです。

 こちらの本では「日本の治水史」だけでなく、古くは中国の伏羲と女媧まで遡っています。「物語」となっていますので、とても読みやすいのですが、内容はかなり専門的です。最終的には「今後の日本の治水のあり方」まで提言されています。「水の本性に逆らわない」「先人の知恵や失敗に学ぶ」など、考え方が「水のよう柔軟でしなやか」で、とても面白い本でした。

 

『蛇と十字架』

 

 

 前回の記事でこちらの本を参照したので、ふと思い出したように治水史の本を読み返しました。蛇あるいは龍は、水にまつわる神話と絡んでいることが多いです。こちらの本では、鉄器の発達と「(世界中の)蛇殺し神話」を結びつけて、ちょうどその頃に「別の信仰の隆盛に蛇信仰が衰退した」としています。鉄器を用い、優れた治水・農耕技術を持つ文明に変わっていく様子は何となく想像出来ます。蛇信仰に限らず、古代の治水は人身御供がメインでした。

 日本は緯度だけ見ると砂漠地帯と並んでいるのですが、逆に水に恵まれている国になっています。毎年のように梅雨や台風が水害をもたらしますが、先人の知恵と最新の技術により、むしろ被害を最小限に抑えている国とも言えます。それでも個々人の備えと心構えが、何よりも重要でしょうが。

 人間にとっての「都合の良さ」だけで見ると、害と益に分かれてしまいますが、本来は両義的なものです。たまに手に取りたくなる本です。

 

『水運史から世界の水へ』

 

 天皇陛下徳仁親王時代に書かれた本です。私としては日本の神話にも触れて欲しかったのですが、陛下の関心は水運史のようで、少し残念でした。しかし、日本の象徴として自国の水害を憂慮するだけでなく、「水という世界の共有資源」について、グローバルな視点を示していて、とても面白かったです。SDGsの先取りです。

 フォーラム等の講演内容をまとめたものもありますので、とても読みやすいのですが、水を基点に世界情勢を見ているので、その大局的な見地に深く考えさせられます。

 専門的な内容になると、数値データや図表を用いてかなりマニアックに掘り下げています。私が特に面白いと感じたのが、水路の開発地図や、関や水門の仕組みをイラストと写真で詳しく解説している部分です。

 古代文明で王や司祭に求められた役割とは、国を治めるために水を操ることでしたので、水をテーマに研究されていたのは「深いなぁ」なんて、勝手に思っています。

 もし、治水の歴史に興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、間違いなくこちらの本を入門書というか、きっかけとして是非オススメしたいです。

桜はどうですか?

はてなブログでもそろそろ「桜の写真ラッシュ」が始まるのでしょうか?楽しみです!ワクワク♪(え?もう始まってる⁉️私の近所は満開まではまだもう少しかかりそうです)

 

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