パスタを茹でている間に

村上春樹作品を考察しているブログです。著者の著作一覧はホーム(サイトマップ)をご確認ください。過去の考察記事一覧もホーム(サイトマップ)をご確認ください♪

考察・村上春樹著『独立器官』本人の意思と他律的な作用

 短編集「女のいない男たち」より、『独立器官』を考察します。ざっくりとあらすじを説明すると、50歳を過ぎても独身を貫く美容整形外科の開業医をしている男性・渡会が、恋煩いで拒食症になりそのまま絶命するお話です。

 短編集に収められた順番からすると、「イエスタデイ」『独立器官』「シェエラザード」となっています。「イエスタデイ」と『独立器官』では、同一人物・谷村が語り手として登場します。

 また、「シェエラザード」ではヤツメウナギが主題となっているのですが、私の考察では、「独立器官 = ヤツメウナギ」として読んでいます。

 

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考察・村上春樹作品におけるメタファー、記号と象徴、擬人化の例

 今回は村上春樹作品におけるメタファー、擬人化、記号と象徴について、わかりやすく例を示して説明したいと思います。
 「○○は××のメタファー」という考察記事をよく目にします。一部の読者の間では、著者の比喩表現を一様にメタファーとする傾向がありますが、村上春樹作品以外の小説に慣れ親しんだ読書好きの皆さんには抵抗があろうかと思います。
 本記事ではそれらの誤解を明らかにしたいと思います。

 2023年3月追記

 メタファーの一種である寓意(アレゴリー)について抜けていましたので、寓意化についても区別したいと思います。

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考察・村上春樹著『UFOが釧路に降りる』箱の中身

 短編集「神の子どもたちはみな踊る」より、『UFOが釧路に降りる』を考察します。こちらの短編集は阪神淡路大震災を扱った作品とされているのですが、地震のあとで地下鉄サリン事件が起きています。
 同短編集は連作「地震のあとで」が元となっていることから、本短編は「カルト宗教による勧誘プロセスが描かれている」との読みが示されています。(評論家の加藤典洋さんです。村上春樹イエローページで有名です。)
 しかし、小説の読み方は自由なので、私は違った読み方をしてみたいと思います。

 

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