パスタを茹でている間に

村上春樹作品を考察しているブログです。著者の著作一覧はホーム(サイトマップ)をご確認ください。過去の考察記事一覧もホーム(サイトマップ)をご確認ください♪

チェーホフ著『ワーニャ伯父さん』と村上春樹著「ドライブ・マイ・カー」

今回はチェーホフの『ワーニャ伯父さん』をご紹介します。本当は記事にするつもりはなかったのですが、面白かったので単体で取り扱うことにしました。本当は当時のロシアの情勢や、結婚事情、恋愛観など内容が盛りだくさんの悲劇ですが、今回はただ一点、村…

考察・村上春樹著『タイランド』 石に変わる言葉

短編集「神の子どもたちはみな踊る」より『タイランド』を考察します。主人公のさつきは甲状腺の病理医で、世界甲状腺会議なる専門医が集まる会議に招かれており、今回の会場となったのがタイだったので、物語の舞台がタイになっています。 こちらの短編集は阪…

考察・村上春樹著『神の子どもたちはみな踊る』かえるダンスの意味

今回は短編集「神の子どもたちはみな踊る」より、表題作『神の子どもたちはみな踊る』を考察します。日本では今、「政治とカルト教団」に揺れていますが、こちらの短編でもカルトを扱った作品になっています。 神の子どもたちはみな踊る(新潮文庫) 作者:村上春…

考察・村上春樹著『TVピープル』 テレビは真実を伝えているか?

村上春樹著『TVピープル』を考察します。本作は短編集「TVピープル」の表題作となっていて、短編集の持っている全体的なムードを示す作品となっています。小説『1Q84』に登場した「リトルピープル」へと続く邪悪な系譜なのですが、こちらを「邪悪」としてしまうの…

考察・村上春樹著『どこであれそれが見つかりそうな場所で』

短編集「東京奇譚集」より、「どこであれそれが見つかりそうな場所で」を考察します。なかなか惹かれるタイトルです。主人公は45歳の独身で、特殊な状況で失踪してしまった人を専門に探すボランティアをしています。そんな主人公のもとに依頼人が訪れるところか…

考察・村上春樹著『蜂蜜パイ』 地震男がふたを開く

今回は短編集「神の子どもたちはみな踊る」より『蜂蜜パイ』を考察します。こちらの作品は『かえるくん、東京を救う』と並んで、とても人気のある短編で、ストレートで分かりやすい物語になっています。 主人公は短編『日々移動する腎臓のかたちをした石』で登…

考察・村上春樹著『女のいない男たち』水夫は風を捉えて進む

短編集『女のいない男たち』の表題作を考察します。まえがきでは「女のいない男たち」というモチーフで短編をいくつか書いたあとで、単行本のための表題作を書こうと思い立ったと語っています。また本作については、「そうだ、こういうものを書こう」という着想…

『星の王子さま』 その本は魔法の言葉で書かれている

大人になってこの本を知ると、「何でもっと前にこの本を読まなかったのだろう!」と後悔し、幼すぎると「変な本…」で終わってしまう。初めて手に取ったときに感動したエピソードは、再読するとその輝きを失い、今度は別のエピソードが心を締め付ける。 星の王子…

村上春樹作品を読み解くキーワード一覧

村上春樹作品では著者が独自に考案した様々な用語が使われています。今回はそれらのキーワードやキー・センテンスについて、短い文でまとめてみたいと思います。長編作品を思い付く限り全部盛りです。言い切ります。

今週のお題「SFといえば」 ワタシのベスト3

今週のお題「SFといえば」 こんにちは♪今日はお題に挑戦してみたいと思います。SFと一口に言っても、小説・映画・マンガ・アニメと様々で、サイエンス・フィクションなのか?それともスペキュレーティブ・フィクション(思索的小説)とするのか?調べてみる…

考察・風の歌を聴け ②「ジョン・F・ケネディ」に答える読み方

村上春樹著『風の歌を聴け』を考察します。皆さんは都市伝説はお好きでしょうか?今回は都市伝説風に、怪しい読み方を示してみたいと思います。前回は純粋にプロットから「風の意味」について考えてみましたが、今回はキーワード群を「Happy Birthday and White…

考察・風の歌を聴け ①「風の意味」に答える読み方

村上春樹著『風の歌を聴け』を考察します。本作は群像文学新人賞への応募作で著者のデビュー作です。もう既に様々な読み方があるのですが、「主人公=鼠」とする読み方、「レコードショップの女の子は鼠の恋人」だったりです。私も本作から二つの主題を読めたので…

考察・村上春樹著『木野』 ザグレウスの心臓 全力考察

短編集「女のいない男たち」より、『木野』を考察します。以前にも『木野』は記事にしたのですが、そのときは考察が中途半端になってしまいましたので、リトライしたいと思います。猫と柳、そして、「心臓を隠す蛇」についても考察したいと思います。 ポスター …

村上春樹著『アフターダーク』のあらすじとプロット ネタバレの是非

村上春樹著『アフターダーク』のあらすじ・プロットです。考察は別記事に書きました。

考察・村上春樹著『シェエラザード』 やつめうなぎ的な主題

短編集「女のいない男たち」より、『シェエラザード』を考察します。社会との関わりを絶って「ハウス」で隠遁生活を送る男性・羽原と、その彼を支援する「連絡係」の女性・シェエラザードの物語です。 シェエラザード (HARUKI MURAKAMI 9 STORIES) スイッチパブリ…

考察・村上春樹著『土の中の彼女の小さな犬』

短編集「中国行きのスロウ・ボート」より、『土の中の彼女の小さな犬』を考察します。主人公はインタビュー記事やルポを書いているライターで、宿泊先のホテルで知り合った女性にコールド・リーディングを行う話です。 コールド・リーディングとは、インチキ占…

考察・村上春樹著『かえるくん、東京を救う』 

短編集「神の子どもたちはみな踊る」より、『かえるくん、東京を救う』を考察します。著者の短編の中でもかなり人気のある作品です。こちらの短編集では、収められている短編同士がキーワードを共有するので、単体で取り出すのが少し難しいです。レコードやCD…

考察・村上春樹著『はじめに・回転木馬のデッド・ヒート』 おりと澱と檻 

今回は短編集の序文となっている、『はじめに・回転木馬のデッド・ヒート』を考察します。こちらの序文では「小説とは何ぞや?」という著者の思いが短くまとめられています。『1973年のピンボール』と、全く同じことが書かれています。 Ничья на карусели. (回…

新人ブロガー暗中模索! 「修復されてしまったフェルメールの巻」

前回までのあらすじ♪ カラフルな色を使ったブログに吸い込まれる傾向があるワタシ♂。読者様の記事を巡回しながら「キレイだな~…」なんて、色彩を欠いた自身の考察ブログにヘコむ。(´ω`) 「考察ブログだから色を抑えてシンプルに!」とも思うのですが、カラフル…

考察・村上春樹著『螢』「死」が捉えたのは誰か? 

短編集「螢・納屋を焼く・その他の短編」より、『螢』を考察します。こちらの作品は『ノルウェイの森』の原型になっている短編なのですが、単体でも十分に読みごたえのある、別物と捉えてよい完成品です。 『ノルウェイの森』では、主人公の「混乱」を描こうとし…

考察・『七番目の男』 初めての読む「村上春樹」に最適な短編

短編集「レキシントンの幽霊」より、『七番目の男』を考察します。こちらの作品は村上春樹作品のなかでも特に読みやすく・分かりやすいとされている短編です。メッセージもかなりストレートで、「著者が小説で描きたいこと」が端的に現れています。 語り手(主人…

考察・村上春樹著『レキシントンの幽霊』 ある種のものごと 

村上春樹著『レキシントンの幽霊』を考察します。短編集の表題作となっている本作ですが、高校の現代文で幾つかの教科書に採用されています。主人公(語り手)は著者自身で、マサチューセッツ州レキシントンでの体験で、「人物の名前だけは変えたけど、それ以外…

考察・村上春樹著『踊る小人』 象工場の意味

村上春樹著『踊る小人』を考察します。短編集「蛍・納屋を焼く・その他の短編」収録。主人公は「象の水増し」を行っている象工場に勤めている青年という、かなりぶっとんだ内容のお話です。 The Dancing Dwarf NHK ラジオ 英語で読む村上春樹 2014年 07月号 [雑…

考察・1973年のピンボール 自己変革を目的とした小説

村上春樹著、長編『1973年のピンボール』を考察します。本作は著者にとって二作目の長編です。「喪失感」という言葉を使わずに考察します。

考察・村上春樹著『午後の最後の芝生』 成長する自己を刈る

今回は、村上春樹作品の中でも特に人気のある短編『午後の最後の芝生』をご紹介します。私にはあまり印象がなかった作品なのですが、調べてみると、とにかく大人気でした。こちらの短編は業界人にも人気のある作品のようです。 The Last Lawn of the Afterno…

考察・村上春樹著『めくらやなぎと(、)眠る女』 風を可視化する柳

こちらの作品はふたつのバージョンがあり、ひとつはオリジナルの『めくらやなぎと眠る女』と、それを短くした改稿版の『めくらやなぎと、眠る女』です。それぞれ、「蛍、納屋を焼く、その他の短編」と「レキシントンの幽霊」に収録されています。

考察・村上春樹著『夜中の汽笛について、あるいは物語の効用について』

短編集『夜のくもざる』に収録された短編です。短編と言うよりはショートショートに分類されるぐらいのとても短いお話です。こちらの短編集は、ほとんどが意味不明でふざけた?内容のショートショートばかりなのですが、『夜中の汽笛~』だけがトーンが違い…

新人ブロガー暗中模索! 「人気の無い考察ブログと、彼の無駄なあがき」

前回までのあらすじ♪ 村上春樹作品の考察に特化したブログを作ろうと、はてなブログを始めたワタシ♂。 当然アクセス数は伸び悩み、検索流入もないまま低空飛行を続けていた。しかし最近になって、少しずつ検索でヒットされているのを確認するも、流入はほと…

考察・村上春樹著『納屋を焼く』 同時存在するモラリティ

村上春樹著『納屋を焼く』ですが、当初、映像化する権利はNHKが持っていたそうで、NHK版と「劇場版 バーニング」の二種類が存在するようです。 考察に関しては主流なのが二種類あり、ひとつは「彼」によって彼女(納屋)が殺されて(燃やされて)しまったという読み…

考察・村上春樹著『日々移動する腎臓のかたちをした石』

村上春樹著、『日々移動する腎臓のかたちをした石』を考察しています。腎臓石を「行き場を失った想い」と読んでいます。